「残された時間」

先日帰省をした。
老夫婦となった両親に会うために・・・。
叔父が亡くなって叔母がひとりぼっちになったために、いっしょに連れて行って欲しいと頼まれた。
叔父が亡くなってから叔母が母に会うのははじめてだ。
叔父と母が兄弟。叔母と私は血のつながりは無いが、生前叔父が私を娘のようにかわいがってくれていた為に、私の子たちも叔母になついている。
叔母は人の家に泊まるのは昔から嫌いだ。だからホテルをとってくれと私に頼んだ。
何を言っても言うことを聞かないのはわかっているからその通りにした(笑)
でも、ビジネスホテルを取ったので、今までで最悪のホテルだと言っていた。
ま、これに懲りて親戚の家に泊まることを承諾してくれればいいなと思った(笑)
アダルトチーム(父、母、叔母)とヤングチーム(私(笑)、長女、次女、三女)に別れて車に乗り・・・・
2台で夕食を食べに行くことにした。
何年ぶりだろ・・・・・・・
母が外食に出るなんて・・・・・・・・・
母がお風呂に入っている間に、父と叔母と私で話していた。
私「よくお母ちゃんは行くって言ったね!」
父「もう5〜6年は外食してないぞ?いつも私は行かない!って言うんだから・・」
叔母「あらそ?じゃあ、私が来たことは少しでも役に立ったのね?よかったわぁ・・・」

父も叔母も喜んでいた。もちろん私も・・・。
叔母が華厳の滝を見たいと言うので、次の日にはドライブにいく予定だった。
華厳の滝の展望台まではいけなくても、皆と一緒にドライブ行かないか、聞いてみたら?と父に勧め・・・
父が誘うと母は何の迷いも無く、承諾した。驚きだった・・・・・・・・・・・・

めっきり足腰が弱くなり、なんとなく・・・・・「もう長くないのかな・・・・・」などと心に思ってしまう。
TVがシャープのアクオスになっていた。大画面の綺麗なTV。
父が電気屋さんに連れて行き、どれがいいか?と母に聞いて買ってあげたのだという。
オリンピックを見るのにと言ってはいるけど・・・・。
「楽しみがTVしかないからなぁ・・・。待ってはいられないしな・・・。」と父が言った。
そう・・・・・・この人たちには「今」が大切なのだ。「将来」ではなく・・・・「今」

叔母と両親が、死んだ叔父の話になり、叔母が母に涙を流しながらお礼を言っていた。
「マミちゃん、大丈夫だから!」と電話で母が言ってくれたことが何よりも心強かったと・・。
恥ずかしいけど、他の兄弟との間で財産分与の事で揉めたのだ。子供が無い叔母と死んだ叔父はこの時を心配していた。
心配が本当になったのだ。遺言書があったので、事無きを得たが・・・。
母の一言が、「ああ・・・・味方が居るんだ」と思えた瞬間だったらしい。
呆けた母だが、その気質はそのままだった。

帰るときにも、「楽しい時をありがとう。本当に来てよかったわ・・・。」と涙を流しながらお礼を言っていた叔母。
叔母のお陰で、母が一緒にでかけてくれて、父も喜んでいた。

私は・・・・・・
「あぁ、素直にありがとうとか、人への感謝の気持ちが言えるっていいなぁ・・・。
若いからとか関係なくて、人なんかいつ死ぬかわからないのだから・・・・。
言える時に感謝の気持ちは伝えたほうがいいなぁ・・・。素直に言えるようになりたいなぁ・・・。
これからは、ちゃんと言うようにしよう。そう、もしかすると明日言おうなんて思っていたら、言えなくなるかもしれないんだから・・。」そう思った。

叔母と父が話していたときに、叔母が言った言葉で印象に残った事がある。
「主人が亡くなったって言うと、人はお寂しいでしょうって言うんだけどね・・・。
お寂しいんじゃないのよ。恐ろしいのよ。
子供も居なくて、一人でしょ?自分が呆けてきて判断が付かなくなった時に、どうなるんだろうと考えると、恐ろしいのよ!」と言っていた。
父は黙って、うなずいていた。
これはその立場に立った人じゃなくちゃわからないこと・・・・・・。

私に何ができるのだろうか?
父、母、叔母・・・・・
私にできることなんて小さなことかもしれないけど、少しでも気にかける事・・・・・
まずはそれかな?と思う。